栄養士が牡蠣禁止って本当?ノロウイルスの予防と対策
こんにちは!子育て栄養士の ぴん (@gochi_tabe)です。
「栄養士は牡蠣を食べない」と聞いたことはありますか?冬の味覚の代表である牡蠣ですが、職業によっては避けられてしまうことがあるようです。
理由は冬に猛威を振るうノロウイルスに関係しています。
今回は栄養士が牡蠣を食べないのは本当なのかを紹介します。
また牡蠣を食べるときに気を付けたいノロウイルスを防ぐ方法もまとめました。
給食調理現場で10年働いている私が実際に体験したことも踏まえてお話しします。
生牡蠣を食べないのは本当!
栄養士が牡蠣を食べないのは本当です。
厨房に立つ人は生牡蠣を避ける
正確には、厨房で仕事をする調理従事者の多くは生牡蠣を避けています。
あくまで自主的に避けている方が多数ですが、会社によっては社員規則で禁止令を出しています。
そして中にはカキフライや牡蠣鍋も食べない人もいます。
私も給食調理の仕事を始めてから牡蠣は食べなかったので、その反動で育休中はたくさん食べました(笑)
※参考
育休中なのをいいことにここぞとばかりに好物のカキを食べる😋
— ぴん🐘1y🖊ブログ2年目🖊CWに篭り中 (@gochi_tabe) 2022年2月8日
それでも怖いからカキフライで我慢したよ!
#栄養士あるある pic.twitter.com/jFXLZZZkYi
理由はノロウイルスを防ぐため
牡蠣を避ける理由はノロウイルス感染を防ぐためです。
ノロウイルス感染症の特徴
11月から2月ごろに発生しやすく、子どもから高齢者まで幅広い年齢で急性胃腸炎を引き起こします。
体内に入ると小腸上皮細胞で増殖し、腹痛・下痢・吐き気・嘔吐などの症状が現れます。
潜伏期間は12~48時間で、主ノロウイルスに汚染されていた食品や感染者の便やおう吐物から感染します。
食品では特に二枚貝が感染源になり、これが牡蠣を避ける理由です。
ノロウイルスに汚染された海水を貝が吸い込み、ウイルスが蓄積されてしまうのです。
非常に感染力が強く、給食施設などで感染者が出ると大規模な集団発生につながります。
恐ろしいのは不顕性感染
さらに特に症状のないままウイルスが体外に排出されることがあり(不顕性感染)、無症状でも周りにウイルスを広めている可能性があります。
栄養士や調理師のような調理従事者にとって恐ろしいのがのこの不顕性感染です。
無症状のまま勤務して他の調理員や設備にウイルスを広めてしまうことがないよう、ノロウイルスの感染源になりやすい食品を避けるようにしています。
ノロウイルスに感染した時の対応
自分や家族がノロウイルスに感染してしまった!
そんな時の対応をまとめました。
自分が感染した時
残念ながらノロウイルスに治療薬はありません。
対症療法を行いながら症状が落ち着くのを待ちます。
特に抵抗力の低い子どもや高齢者は嘔吐や下痢によって脱水症状を起こしやすいので、水分と栄養を充分に補給してあげます。
下痢がひどいからと言って下痢止めを使うのはやめましょう。
ノロウイルスが腸内にとどまり回復が遅れることがあります。
家族が感染した時
ノロウイルスの特徴は非常に強い感染力です。
そのためできるだけ接触を避け、感染した家族と食器を共有しないでください。
感染者の症状が落ち着くまでは使い捨てのお皿で食事をとってもらうと安心です。
風邪やウイルス性胃腸炎などの家庭内感染の防止や災害時の食事にも使い捨て食器は便利です。
いざという時のためにぜひ使い捨て食器は備えておきましょう!
吐しゃ物を処理するときは手袋やマスク、エプロン等を使い、周囲に汚物やそれに含まれるウイルスが飛び散らないようにします。
ノロウイルスで汚れた衣類や家具などは次亜塩素酸ナトリウムで殺菌します。
市販されている塩素系漂白剤に次亜塩素酸ナトリウムが含まれているので、0.1%に薄めて使います。
(参考:サラヤ株式会社)
調理従事者が感染した時
万が一調理従事者が感染してしまったら、まず職場に連絡し、症状が落ち着くまで出勤停止にします。
そして厨房内の一斉消毒をして、喫食者(給食を食べる人)への感染を防ぎます。
さらに一緒に働く調理従事者に緊急の検便検査をして、ほかに感染者がいないことを確認します。
調理従事者は毎月1回以上の検便検査を受けますが、通常の検査項目にノロウイルスの有無は含まれないので、改めて検査をします。
ノロウイルスに感染しないためにできること
ノロウイルス予防には手洗いの徹底と食材をしっかり加熱することが大切です。
手洗いの徹底
- 外から帰った時
- 調理前後
- 食事前
- トイレの後
これらのタイミングで手洗いをすることで、手に付着したノロウイルスが口に入るリスクを減らせます。
食材をしっかり加熱する
ノロウイルスは中心部が85℃~90℃で90秒以上の加熱で失活します。
なので食材はしっかりと火を通してから食べましょう。
揚げ物は中まで火が通ったかわかりにくいので中心温度計を使うのがおすすめです。
私は普段の料理でも使っています。
特に冷凍コロッケや冷凍メンチカツが生焼けになる失敗を防げて我が家では大活躍のアイテムです。
また調理に使うまな板や包丁を清潔に保つことも大切です。
特に小さい子どもがいると家庭内感染のリスク高いので、普段から家族みんなが気を付けて生活することが望ましいです。
まとめ
・栄養士など調理従事者が生牡蠣を食べないのは本当です
・ノロウイルスに感染すると激しい嘔吐や下痢などがウイルスを体外に全部出すまで続く
・感染力が非常に強いので周りに感染した人がいたら注意
・手洗いの徹底としっかりと加熱調理することで感染を防げる
近年は無毒化した養殖牡蠣の研究が進んでいることもあり、牡蠣など二枚貝からノロウイルスに感染するケースは減少傾向にあります。
ですが私を含め調理従事者が牡蠣を食べないのは、自分の仕事に対するプロ意識の表れです。
多くの栄養士・調理師が安全な給食を提供できるよう日常生活から気を配っています。
ノロウイルスの怖いところをまとめましたが、本来牡蠣は滋養強壮に効くタウリンや亜鉛、また疲れをとるビタミンB1などが含まれる栄養豊富な食材です。
食べるときのポイントを押さえておいしい冬の味覚を楽しみたいですね。
今回の記事を書いていて、ノロウイルスに限らず、いま猛威を振るっている新型コロナウイルスも手洗で感染を防げるので、普段からの手洗いが健康な生活にとって大切なのだと改めて思いました。
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最後まで読んでくださってありがとうございました。