栄養士が大量調理現場で働くコツ5選
春から大量調理現場で働くことが決まった栄養士の皆さん!
本当は別の仕事がよかったけどやむを得なかったという人いませんか?
コロナ前、日本は売り手市場という、平たく言うと内定の貰いやすい社会でした。
ところが皆さんよく知ってのとおり、状況は一変してしまいました。
しかしこのような中でも給食産業、特に大量調理現場は相変わらずの売り手市場。常に人手不足です。
そんな世界に不本意ながら飛び込むことを決めた栄養士・管理栄養士過程の学生もいるのではないでしょうか?
「実務経験を積むために仕方なく」
「メーカーの食品開発や病院は倍率が高かった」
「そもそも他に内定が貰えなかった」
理由は様々あれど、大量調理現場で働くことを決めた皆さんに伝えたいことがあります。
苦しいことも沢山あるけれど、ここに書いたことを実行すればきっと上手に働けるというポイントを5つ紹介します。
大量調理の現場は、どんな施設であっても他の部署から隔離された少し特殊な環境です。
そのような環境で気持ちよく働くためにぜひ押さえてほしことがあります。
・給食委託会社に新卒採用された栄養士過程の学生
・給食業務を直営で運営する施設に採用された管理栄養士過程の学生
・いま大量調理現場で働いていてなにか上手くいかないと感じる人
私は新卒からずっと大量調理の現場で働いているので他の職種のことは詳しくありません。
ですが、おそらくどんな仕事にも共通するところはあると思うので、良ければ最後まで読んでいただけるとうれしいです。
- 大前提①新卒採用された人へ
- 大前提②大量調理現場の特徴と本記事でのとらえ方
- 簡単な結論
- 不安なことはなんでも聞く
- 挨拶とお礼と謝罪は絶対にする
- 常により効率化できないか考えて動く
- 味方を1人作る
- 求人情報を常にチェックする
- まとめ
大前提①新卒採用された人へ
どんな仕事に就いても共通することですが、新卒採用された方はどうあがいてもその現場で1番の下っ端です。
あなたが学校で学んだことやバイトで経験したことは、ほとんどが他の人も既知の情報です。
そして社会には様々な経歴(キャリア)を積んでいる人がおり、「たまたま今はその待遇を受けている」だけの人がいます。
決して自己を卑下してほしいわけではないですが、どうかそのことを忘れずに奢らずに上司や先輩社員と付き合って欲しいと思います。
それを踏まえた上で、大量調理現場で働くコツを紹介します。
働くこと全般について書かれたこちらもおすすめです。
大前提②大量調理現場の特徴と本記事でのとらえ方
- ここでいう「大量調理現場」とは、病院、学校、事業所、福祉施設などに給食を調理・提供する場所を指します。
- 1食あたりの提供人数や1日当たりの食事回数によって栄養士または管理栄養士を何人設置しなければいけないか(栄養士の設置基準)が定められています。小規模施設の場合、法律上栄養士を設置しなくてもよい場合でも栄養士を採用してくれる施設も多いです。
- 病院等の管理栄養士の業務内容に調理は入っていないことがほとんどですが、直営で給食を作っている(給食業務を外部委託していない)施設においては、様々な理由で管理栄養士が調理現場に立つこともあります。(本記事を「給食業務を直営で運営する施設に採用された管理栄養士過程の学生」におすすめした理由です)
- 給食の形態は施設によって様々です。食材の切込みや加熱調理を一から行うところもあれば、クックチルシステムを導入して最終加熱のみを行うところもあります。今回の記事では給食の形態に因らず、広く調理現場で新しく働く人に向けた内容になるように心がけました。
簡単な結論
①不安なことはなんでも聞く
②挨拶とお礼と謝罪は絶対にする
③常により効率化できないか考えて動く
④味方を1人作る
⑤求人情報を常にチェックする
不安なことはなんでも聞く
新人として給食室に配属になって最初の仕事は、おそらく野菜の仕込みです。
施設にもよりますが、料理によって切り方が決められている場合がほとんどで、しかも具材の大きさや厚みまで独自に定めているはずです。
施設の利用者さんによっては具材が大きすぎると誤嚥事故に繋がる恐れがあるからです。
「このニンジンは乱切りにしておいて」
と言われた時、あなたはどんな切り方を想像しますか?
教科書に載っている乱切りは、本当に求められた形ですか?
そしてそれを確認しましたか?
食材は基本的にその日必要な分しか納品されないので、調理は一発勝負となります。
切り方や調理方法をミスしたら、最悪不出来な状態で提供するしかなくなります。
それは1番避けたい事態です。
その現場で初めて触れる食材やメニューを扱う時は、まず誰かに自分の認識が合っているか確認してから行動すること。
むしろ分からないことを逐一聞いてくれる方が安心して仕事を任せられます。
挨拶とお礼と謝罪は絶対にする
出勤したら「おはようございます」
退勤する時は「お疲れ様でした」
質問に答えてもらったら「ありがとうございます」
何かミスをしてしまったら「すみませんでした」
挨拶は言わずもがな人間関係の基本です。
それがしっかりできるかどうかでその後の仕事にも影響が出ます。
礼儀作法がどうかよりも実際の仕事の出来で評価してほしい!
そう思う人もいるかもしれませんが、一緒に仕事をする先輩社員たちも気持ちよく仕事ができる相手をより大事にするでしょう。
特に調理現場はチーム戦です。
同じ目的を共有するチームとして、状況に応じて互いにサポートし合いながら仕事をします。
誰かに代わってもらったらすぐに一言お礼を言う。
それがチームとしてやっていく秘訣だと思います。
常により効率化できないか考えて動く
大量調理現場は常に時間との勝負だというのは、実習などですでに見ていて想像できると思います。
新人として入りたての頃は目の前の仕事を覚えるだけで精一杯かもしれませんが、ひと通り仕事になれた頃、よりよい方法がないか自分の働き方を見直してみてください。
具体的には以下の2つをやってみるといいと思います。
①周りの人のやり方をまねる
まずは実際にその現場で働く人のまねから入るのがやりやすいと思います。
野菜の切込みひとつでも、ボウルなどの道具の準備や包丁の扱い方、また厨房での立ち振る舞いなど、いくつも効率よく動くテクニックがあるはずです。
次第に何手も先を見据えて動いていけるようになると思います。
②調理科学の基本をもう1度おさらいする
調理科学の勉強は、もしかしたら管理栄養士試験であまり重視されていないせいか、それほど積極的にしていない方もいるかもしれません。
ですが厨房に立つなら調理科学の基本をおさらいすることは大切です。
例えば
・煮崩れしない野菜の切り方
・ゴマ油やニンニクなどの風味の特性
・ゼラチンと寒天の違い
など、基礎を知っていると現場で役に立つことがたくさんあります。
味方を1人作る
大量調理現場はチームプレーで動いていますが、人間ですからどうしても相容れない人もいます。
それでも仕事だと割り切るのですが、何かつらいことがあった時や理不尽な態度をとられた時に愚痴を吐ける見方を1人でも多く作ることで気が楽になります。
私が新人の時にお世話になっていたのは、正社員よりも人数の多いパート社員の皆さんでした。
パートさんたちはお母さんのような存在で、ほかの正社員の方がいないところでこっそり慰めてもらったりしていました。
正社員は業務に対する責任もあり新人に厳しくあたる人も中にはいますが、(よくも悪くも)パート社員の方はあっけらかんとしているので、現場になじめない新人時代はまさに心のよりどころでした。
求人情報を常にチェックする
新卒に向けた記事で矛盾しているように感じるかもしれませんが、長く働きたい人こそ求人情報はいつも見るように習慣づけてほしいです。
求人情報をチェックする理由は3つあります。
①自分の相場価値を知れる
栄養士は全体的に賃金の安い業界です。
ですが同じ大量調理現場の求人であっても条件によって給与に差はあります。
もし内定先の給料が安いのではないかと思うのなら、同じ地域の中途採用の求人情報を確認してみてほしいのです。
どうでしょうか。
新卒のカードがいかに貴重であるか見えてきませんか?
それほど新卒は好待遇なのですが、どうしてもその現場で働きたくないと思ったとき、求人情報をチェックするメリット二つ目が活きてきます。
②転職準備になる
早い段階で自分の市場価値を把握し、近隣の企業の賃金の相場がわかっていると、本当に転職したくなった時がとてもスムーズです。
転職したいと思う時は、仕事が嫌で仕方なくなっていたり、働くことにつかれて転職活動をする気になれないこともあります。
よい転職先と出会えるかは時の運によるところも大きいので、いい求人があればすぐに飛びつけるよう準備をするに越したことはありません。
③嫌なことがあっても余裕を持って対応できる
求人情報に目を通していると、気になる企業が1つ以上あることもあります。
そういう企業を自分の中でキープしておくと、仕事で何か嫌なことがあったとしても逃げ出すアテがあると思えます。
案外、自分の逃げ場を用意しておくと、心に余裕が生まれて、多少のいら立ちも受け流せるようになります。
結果的に新卒で採用された会社に長く勤められるようになり、中途採用よりも好待遇を受け続けられるのです。
ちなみに体感ですが、栄養士の求人情報はマイナビ転職などの大手求人サイトよりもハローワークのほうが充実している気がします。
また栄養士専門の転職情報サイト栄養士のお仕事もおすすめです。
まとめ
今回は主に新卒で大量調理現場に採用された栄養士課程の学生に向けて、大量調理現場で働くコツを紹介しました。
大切なことはこの5つです。
①不安なことはなんでも聞く
②挨拶とお礼と謝罪は絶対にする
③常により効率化できないか考えて動く
④味方を1人作る
⑤求人情報を常にチェックする
大量調理現場は体力的に厳しいし、早朝からの勤務もあるので、正直楽な仕事ではないです。
ですがそんな現場に飛び込むことになったからにはできれば前向きに仕事をしてほしいと思います。
やり続けているとそのうち仕事が面白いと感じる瞬間がきっとあります。
私は何度か転職をしつつもずっと給食産業にかかわっています。
嫌なことはたくさんありましたが、今回紹介したポイントを押さえて、少しでも給食産業に携わる人が、心地よく働ければいいなと願っています。
▼おすすめ記事
ここまで大量調理現場で働くコツを書きましたが、それでも働くことがつらくなったら読んでください。
gochisou-tabetai.hatenablog.com
最後まで読んでくださってありがとうございました。