【給食】子どもの食物アレルギーに対応してもらうには?
これから保育園や幼稚園の入園を予定している子どもに食物アレルギーがあるとわかっている保護者の方もいると思います。
不安に感じることが多いかもしれませんが、保育園や幼稚園では食物アレルギーのある子どもが他の子どもと変わりなく楽しく過ごせるよう対応しています。
ここでは保育園・幼稚園でアレルギー対応給食を提供する流れを、実際に保育園で栄養士として勤務する私が行っている体験を踏まえてまとめました。
保育園や幼稚園で食物アレルギーに対応した給食が必要な方
書類名など難しい言葉もありますが、できるだけ分かりやすくまとめたのでよければ最後まで見ていただけたら嬉しいです。
注意
食物アレルギーは不明確な点の多いまだ研究途中の分野です。
行政の指示が更新されることも多く、そのため現場の対応が今後変更になる可能性もあります。
最新の情報を確認のうえ、不明な点があれば自治体や医療機関にお尋ねください。
また書類の形式や詳細な対応は、国が定めたガイドラインがありますが、園によって誤差があります。
保育園・幼稚園での食物アレルギー対応についてまとめられた書籍があるので、ぜひ合わせて読んでください。
食物アレルギー対応の基本方針は?
保育園・幼稚園など集団給食における最優先事項は安全を確保することです。
お預かりした子どもたちの健康を守ること、無事にご家庭に帰すことに比重を置いています。
そのため給食ではアレルギー源となる食材をすべて除去する「完全除去」が基本となります。
集団給食でそれぞれアレルギーの程度に合わせた個別対応をすると、調理や盛り付けの作業が複雑になり、ミスが起こりやすくなってしまうのです。
家庭では子どもの食べる楽しみや栄養バランスを保つための「必要最低限の除去」が基本となるのですが、この点が給食と家庭での大きな違いとなります。
完全除去の場合、給食の栄養バランスに偏りが出てしまう弊害もあるのですが、保護者の方には了承をいただいています。
食事対応が必要になったら
入園前に食物アレルギーがあることが分かっている、もしくは入園後に食物アレルギーが疑われる症状が出た場合、給食でアレルギー対応が必要か園と相談することになります。
園に食物アレルギーがある(もしくは疑われる)ことを連絡してから給食で対応してもらうまでの流れは大きく3つに分かれます。
病院から生活管理指導表を記入してもらう
(厚生労働省より ※pdfファイル)
食物アレルギーに対応して給食を用意するには医師の指示が必要になります。
そのため、病院を受診して生活管理指導表を医師に記入してもらいます。
記入内容は主に
・除去対応の必要な食材
・過去にアナフィラキシーを起こしたことがあるか
・緊急時に備えた処方箋の内容
などになります。
保育園へ提出する書類を揃える
病院に記入してもらった生活管理指導表の他にも園へ提出する書類を用意します。
<主な書類(一例)>
・除去対応願い
園へ食物アレルギー対応を依頼します。
・食物アレルギー調査書
食物アレルギー源や初めて症状が出た時の状況、またアナフィラキシーを起こしたかなどを記入します。
・薬の扱いに関する同意書
「エピペン」などアレルギー症状を抑える薬を処方されている場合、園に持ち込むことや緊急時に保育士等が使用することに同意してもらいます。
また医師の指示に基づいて食事対応の必要がなくなったときは除去対応解除願いを提出してもらいます。
面談
提出した書類をもとに給食での除去対応を決めていきます。
給食の提供の仕方を確認したり、給食以外の食育活動で配慮が必要かを家庭での状況をもとに検討したりします。
この時にわからない点や不安な点は積極的に質問してください。
面談は栄養士を中心にクラス担任、看護師、園長などが立ち会いうことが多いです。
面談で話した内容は全職員に共有されて、園全体でアレルギー対応をしていくようになります。
保護者の皆さんに協力していただく事
給食での除去対応が開始されてからも安全に給食を提供するために協力していただきたいことがあります。
定期的な通院
小さな子どものアレルギーは改善することが多く、保育園(または幼稚園)在園中に発症したアレルギーが小学校入学前に完治するケースも珍しくありません。
自然に治ることもあれば、治療によって改善されることもあります。
そのため定期的に通院をしてアレルギー症状を把握することが大切になります。
症状が改善し、給食で除去対応がいらなくなったときは園に連絡して除去対応解除願いなど必要書類を提出するようになります。
毎月の献立表の確認
担当栄養士が除去対応が必要なメニューにチェックと代替食を記入して、保護者の方に確認してもらっています。
・明らかな記載漏れがないか
・除去対応を変更した場合正しく反映されているか
・食育活動があれば配慮が必要かどうか
などを見ていただいて、栄養士と保護者が一緒に給食内容が適切かチェックしています。
保育所で提供する給食は一般的なメニューに何か「ちょい足し」してアレンジされていたり、献立名だけではどんな料理なのかわからなかったりするので、不思議に思ったことがあれば遠慮なく聞いてください。
まとめ
食物アレルギーをもつ子どもの給食対応についてまとめました。
保育所での給食は子どもの安全を守ることを優先しているので家庭での食事と異なる点があります。
食事対応が必要になったら、まずは病院を受診して医師に生活管理指導表を記入してもらうようになります。
給食での食事対応が始まってからも定期的な通院や毎月の献立表の確認といった保護者の方に協力していただく事があります。
すでに食物アレルギーを持つお子さんのいる家庭では、普段の食事でも気を付けることが多く、それに加えて保育所との面談などお願いする場面がどうしてもあり、日々大変かと思います。
保育園としてできるだけ保護者の方の負担を軽減できるように献立内容などを工夫して、子どもたちが食事を「おいしい」と思ってもらえるようにしていくつもりです。
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最後まで読んでくださってありがとうございました。