ごちそうが食べたい。

栄養よりも腹を満たしたい管理栄養士

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問題作だった給食メニュー4つ

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保育園で給食を作っているとやはり子どもに合わせた献立が求められます。

子どもの喜ぶ好きなメニューの語呂合わせに【おかあさんやすめ】【ハハキトク】というものがあります。


【おかあさんやすめ】
お:オムライス   

か:カレーライス

あ:アイスクリーム

さん:サンドイッチ

や:やきそば

す:スパゲティー

め:目玉焼き


【ハハキトク】
ハ:ハンバーグ

ハ:ハムエッグ

キ:ギョウザ

ト:トースト

ク:クリームシチュー


このような食事ばかりでは栄養バランスが崩れ給食として成立しないので、そこを何とかしてメニューを考えています。

【参考】「おかあさんやすめ」より「まごわやさしい」、バランスよい食事方法で体調管理 - ママ特派員・サポーターから:アスレシピ



ですが目新しさと栄養バランスにばかり優先して肝心の味が悪いと優れた給食とは言えません。

食事は食べてこそ意味があるのですから。


以前
【給食】実際に給食で出したちょっと変わったちょい足しレシピ - ごちそうが食べたい。
で、栄養士がちょっと変わった献立を出す理由の一つに栄養士の経験不足を挙げました。


今回は私が過去に出した献立で、これは問題作…というか失敗だったと思うもの4つを紹介します。

どれも今なら経験不足で提供してしまったと思うものです。

提供した時より少し経験を積んだ現在ならどんな点を改善するかを考えた対策も添えています。

もしも栄養士、特に若くて経験の浅い方が見ていたら、ぜひ参考にして私の二の舞にならないようにしてもらえると、この失敗も供養できるでしょう(笑)


大切なことは食べる人のことを考えることです。

私が提供して問題作だった!と思う給食メニュー4つ

①納豆かき揚げ
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納豆かき揚げイメージ

参考サイト:エピレシピ

体にいい納豆を何とか食べてもらいたい!
そんな思いで提供しましたが大撃沈…。

ただでさえ好き嫌いの分かれる納豆を、加熱して臭いが強調されてしまったので余計に食べにくい結果になってしまいました。

そして仕上がりは、納豆の割合が多すぎてベトベトになってしまいました。
おそらく、タンパク質を確保するために納豆を入れすぎましたのだと思います。


対策
元も子もないですが、納豆は和え物にするかそのまま出すかなど冷たい状態で提供するのが1番だと感じました。

どうしても納豆のかき揚げを出すなら野菜のかき揚げに少量混ぜる程度に収めると仕上がりもサクサクになると思います。
栄養バランスを整えるならかき揚げ以外の料理で調整するようにすればよかったです。


②大根餅
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大根餅イメージ

参考サイト:だいどこログ

その年は園で育てた大根が豊作で、何とかして腐らせないように給食で活用してほしいと頼まれて提供しました。

すりおろした大根に塩と片栗粉とみじん切りにした大根の葉を混ぜて焼き、醤油ベースのタレをかけました。

保育士の先生に感想を尋ねると、子どもたちに大不評だったとの回答。
話を聞くとどうやら子どもにとって渋すぎるメニューで、大根の苦味や臭いがキツくてなかなか食べられなかったそうです。


一部の子どもは問題なく食べたそうですが、大半の子にとってはそうではなく、おかげで残渣(食べ残し)も多かったです。


対策
大根の独特な臭いを取り除くようにすればもう少しよかったかもしれません。
大根のしぼり汁を捨てて大根餅を作るとか、もっと風味が変わって子どもが好きなものを混ぜ込むか、何らかの工夫をすればよかったと思います。

スイートコーンやハムなど、食感も変わって楽しかったかもしれないです。



③コーンフレーク揚げ
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コーンフレーク揚げイメージ

参考サイト:レタスクラブ

下味をつけた鶏肉にコーンフレークを衣にして揚げました。
ただのチキンカツではない、普段と違う食感と見た目を楽しんでもらいたかったのですが難点がありました。

まず小さな子どもはコーンフレークの固い衣を上手に嚙み切れません。
牛乳などに浸した柔らかいコーンフレークと違い、カラッと上がったコーンフレークは固くて子ども向けではなかったです。

また衣を上手にまとわせること自体が難しく、手際よく大量に作るならただのフライと同じような感覚で作らず工夫が必要でした。


対策
コーンフレーク揚げを作るなら、コーンフレークを少しくだいて肉につきやすくすればよかったと思います。

もはやコーンフレーク揚げの意味はあるのか?と思わなくもないですが、子どもが固くて噛み切れない衣は作り手が砕いてあげるのもひとつ手だと思います。


また大量調理で作るのであれば、衣の素材はたくさん発注しておくこと。
これはコーンフレークに限らずフライや天ぷらなど揚げ物全般に言えますが、揚げ衣になるパン粉や小麦粉はレシピ以上に実際の使用量は多いです。
水分を吸ってバットの中で使い物にならなくなる素材の多いこと多いこと…。
家庭料理なら気にならない程度の誤差でも大量調理だとそうもいかないので、発注段階で多めに頼みつつ作りながら調整するのがいいと思います。


④おはぎ
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おはぎイメージ

参考サイト:FOODIE 三越伊勢丹の食メディア

お彼岸の時期に合わせて手作りしたおやつでした。

冷めても固くならないようにうるち米ともち米を混ぜてご飯を炊き、市販の粒あんを少量のお湯で伸ばして餅に包みました。
誤嚥を防ぐため通常のご飯よりもち米の比率を減らしてみました。

提供したらもち米を混ぜたごはんは子どもにはヌチャヌチャ噛めないようでした。
離乳食の終わりごろ(だいたい1歳半ごろ)は水分の多い軟飯を提供するのですが、それをより水分の多いようなご飯は噛みにくいようでした。

またあんこでくるんだことで素手で持って食べられないことも問題でした。
おにぎりなどを手で持って食べることも食育の一環で成長に必要なことです。普段のおやつならおにぎりもよく提供します。
ただおはぎは手で持つとべとべとになるので食べさせる大人の負担が爆上げです。
これもよくなかった…。


対策
お米について、軟飯でよかったと思います。
本来のおはぎとは異なりますが、子どもにとっては食べなれたごはんがよかったです。

またどうしてもあんこを出すなら一口大のご飯をあんこでくるむか、いっそお汁粉でよかったかもしれないです。(お汁粉に白玉団子を入れようとすると、誤嚥などまた新たな問題が生じるので難しいですが)




まとめ 大切なことは食べる人を考えること

今回は私が提供して問題作だったと思うメニュー4つとそれらの対策を紹介しました。

①納豆かき揚げ
②大根餅
③コーンフレーク揚げ
④おはぎ

どれにも共通しているのが、食べる人への配慮を欠いていたことが失敗したと感じる大きな原因です。

私であれば保育園の給食を作っているので、子どもにとっておいしい物を提供することが優先するべき仕事です。

「おいしい」は味つけや見た目のほかにも固さや風味、そして年齢も大きく影響します。
食事を作る大人たちと子どもでは味の感じ方が違うこと、子どもにとって何が「おいしい」食事なのか、をまだわかっていなかったのです。


家庭で料理を作るときも、その料理を食べる人のことを考えて料理を作ることがおいしくなる秘訣だと様々な人が言っていますが、それと同じですね。



最後まで読んでくださってありがとうございました。